朝の浦和

　平日のせいか、埼玉県庁へ向かう通勤客の疲れた表情の波に逆行して駅へ向かい歩いてゆくと、気のきいた喫茶店はレディアのハンカチを店先に吊るして、優勝記念にオール100円引きなんていう看板を出している。居酒屋「力」の壁面には大きなたれ幕がやはりレッズの優勝を祝している。その下を無表情の通勤客がそういうものを別に見上げるでもなく歩いているのを見ると、ここは本当に浦和なのだろうかと疑わしくなってくる。でも見上げると、そこら中に商店街のレッズフラッグ。やはりレッズの町だよなあ。昨夜はこの街中がレッズサポで盛り上がったのに、朝になるとレプリカを脱ぎ捨てて、スーツに身を包んで、まるで個性を捨て去った人間のようなふりをして県庁のお仕事に向かわねばならないのかもしれない。それともお役所勤めの人たちというのはいつもあんな風に無表情なのだろうか。自分が通勤するときの表情(車通勤だけど)くらいは、今後少しくらい気をつけよう、という気になってきた。