外で酒を呑む夜
外で酒を呑む夜が減った。前職のときには週に必ず最低一度、三度くらい呑んで帰宅すること普通だった。
馴れと言う奴なのかもしれない。最近は経済的事情などもあったからまず外で酒を呑まなくなっていた。
というわけで今日は本当にひさびさに行きつけの店二軒を梯子。夜明けの4時まで呑んで、タクシーの窓から開けようとしている空の白みを朧ろに見上げながら夏の終わりの朝を帰宅する。
酒を呑まない人に車で連れられて出かけ、酒を呑まない人が先に帰宅した後も、酒呑みのぼくはこうして馬鹿な時間の使い方をする。酒の上でのつきあいもあり、酒場のマスターやママへの挨拶もしなくてはいけない。あまり長いこと顔を見せないでいるわけにもいかない。名前も知らないカウンターに並ぶ常連客に、しばらく、と挨拶をしなくてならない。
そういう義理のようなものを自分からわざわざ作り出すのが、酒呑みなのだと思う。つくづく馬鹿だが、こういうことをしている限り、あまり寂しくなく、けっこう明るく人生を送ってゆくことができるのだ。
宿酔いだってそう捨てたものではないのだ。