入場料

　途中に「つどーむ」という名の白いドーム型体育館があって、そこではフリーマーケットをやっている。しかしそこは入場料を取って中でどうでもいいようなライブステージを用意したりしているらしい。神宮外苑でのフリーマーケットのように気軽に通り抜けるという雰囲気ではない。もしぼくがフリーマーケットの出展者だったら入場料で規制してお客さんを減らしてしまうよりも、出店料を少しだけ高くしてもらってもお客さんには無料でどんどん入ってきてほしい、その方が売れるものも売れるという気がするのだが。一方では、入場料惜しさにいったん入った人は必ず何か買うだろうという理屈も成り立つ。
　でもぼくは「つどーむ」の前を入場料惜しさに黙って通り過ぎてしまう。もしかしたら多くの掘り出し物を手に入れるビッグチャンスを逃しているのかもしれないのに。
　でも入場料って、そういうものだと思う。中でお金を使うのに、入場するところで別の料金を払わねばならないことほど不条理なものはない。ぼくは大抵の場合そう考えてきたし、こういう価値観の人はけっこういるんじゃないかと思う。確実にお金を取るよりも、お客を集まりやすくして商品で儲けるということをどうして考えないのか、ぼくは不思議だ。