今日は午後から雨になるというので、朝食後、すぐに出発する。
まずはところどころ凍った道を、太平洋へ。標津に出て、海沿いに南下する。昨日ずっと見えていた北方領土も羅臼の山も、曇って見えない。冬の海のようだ。
野付半島は凍りついていた。トドワラも白い氷の上で、そこが海であるようには見えず、大地の延長のようである。
誰もいないネイチャー・センターの職員が、三本足のエゾシカを指差した。
「もう群れにも戻れず、動けず、ずっとあそこにいるんです」
どんなわけで彼が足を一本失ったのかわからない。自然の過酷さがそこに見えるばかりだ。