峠越え

　夕餉の支度をするという義母を旧家に残し、再び、鳴子温泉へ。ルートを敢えて父に昔教えられた近道に取るが、難路であった。代わりに、登り切ると、まるでご褒美のように、いい風景の牧草地に出る。山を眺め、雪原を眺め、まるで懐かしい北海道のようだと、冬景色を心で味わう。
　鳴子温泉に着き、少し買い物をすると日没となる。

　今朝、出立した紫雲峡の近くにある日帰り専門温泉＜福の湯＞に浸かり、夜の七曲りを越え、トンネルをくぐって鴬沢の旧家へ戻る。
　義母と妻と三人、食卓を囲み、おせち料理をつつき、和気藹々と楽しい時間を過ごす。
　明日は、伊豆沼に鳥の飛翔を見に行くのだと告げ、女性二人には弁当の用意をしてもらい、２１時半には床に就く。旧家の冬はみしみしと凍りつく音がするくらい、冷え込む。義母の用意してくれた電気毛布が有難い。