無神経な荷物
家を出て、独り暮らしをするために、新しい一戸建てに移った。
サザエさんの家みたいだ、と息子に言われた古臭い貸家へ、荷物が次々と運び込まれてゆく。朝から夕方までかかって、意外なほど多い段ボールを運び入れた。
荷解きが大変だ。友人のOさんと、息子と男三人でかかっても歯が立たないほどの量だった。
一人とはいえ新築一戸建ての家で溜め込んでしまった本に、札幌の広い一戸建てに溜め込んでおいた本やCDやLDが合流したのだ。それは、言葉で言い表せないほどの量だし、本箱一箱分が無神経で気まぐれな妻によって廃棄されてしまっていたから、困った。
LDの入っていた木箱も捨てられ、中身だけが送られてきた。人の荷物の収納場所なんてどうでもいいのだろうか。
段ボール箱ばかりが異常に積み上げられた3DKで途方に暮れる夜だけが残った。