お椀スープ
カップスープを呑みたくなって、きのこのスープを取り出したのだが、思えば、未だにカップスープを飲むためのカップが我が家にはないのだった。マグカップは一個だけしかなくって、それにはもう既にレモンティーが満たされている。トーストは上がってロースハムを乗せてぼくの口に入るのを待っているし。
仕方なくお椀を出して、味噌汁のようにそこでカップスープを溶いた。正直言ってあまりよく解けなかったし、スープの色がお椀のダーク調な色彩に押されて、あまり美味しそうには見えなかった。
単身赴任生活を始めて1年1ケ月にもなるのに、未だにろくすっぽ食器が揃っていない。ステーキを切るナイフもその後買っていないしね。焼き魚を乗せる皿も割れたきり補充していない。
単身赴任だと思うと、いろいろなことがどうでもよくなってしまう。そういう傾向と日々闘ってはいるけれど、100パーセントにはならない。
帰りの電車を降りるとさいたまは雪。路面に積もりかけていて、滑っている人がいた。寒いので鍋の材料を買おうとしたが、24時間営業のスーパーからは鍋材料が姿を消しているのだった。朝は食器に、夜は食材に苦労する日々だ。