霙の中を

本当に遠い。
通勤ラッシュのいつもの時間帯の苦行を経て、窮屈なジェット機の座席に押し込まれ、辿り着く札幌。
北海道に舞い降りるや否や、いつも車で移動してきた場所場所を電車に乗って動き回らねばならない一日が始まる。駅という風景はやはり利用していないので、逆に新鮮味がある。北海道らしさも雪や風や寒さや乗客のたたずまいから、感じ取ることができる。

　　
　　

行き着けの床屋。日記を読んだと言われ、転勤話になる。
なぜか特殊メイクの話になり、アメリカで優勝したアーティストの作成したマスクを実際に見せてもらった。優勝した作品の写真も。モデルの日本人女性が、ポール・マッカートニーに変身を遂げる作品も！
続いて電車と地下鉄を乗り継ぎ、行き着けのマッサージ院へ。話をしている途中で意識が遠のいてゆくのを、首筋に打たれた鍼の痛覚が引き戻すのだった。
今度は霙混じりの雪の中を、地下鉄一駅分歩いて、そしてバスに乗り、我が家に帰り着いた。
すっかり日が暮れてしまっていた。