シュンの日記なページ

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 日勝峠に向かおうとする日高樹海ロード。時折り、連なる大型トラックを抜くために、登坂車線があって、乗用車が大型車を抜くためにアクセルを踏み込む。抜いている途中の乗用車とトラックの間をすり抜けてゆくバイクがあって、一瞬ひやっとした。その単独バイクは、さらに抜きにかかる乗用車と、迫り来るトラックの間を瞬間的な体重移動によってまたもすり抜けていった。
 事故で死ぬタイプ……とわれわれの車の中で話題になった。無茶だ。命知らずだと。
 数十分後、日高町のコンビニに寄ったところ、日勝峠方面からやってきたドライバーたちが、バイクの事故があったことを話題にしている。話題にしたくなるほどひどい事故だという。
 われわれも日勝峠を越えるために事故現場を通らねばならない。
 それは直線道路だった。追い抜きを防止するためだろう中央に棒杭が打たれた道。その棒杭が途切れて、追い越しが可能になる辺りだった。片側通行止めにしてあるが、警察がまだ着いていないために、現場は保存されていた。左のトラックを追い越しにかかった瞬間、バイクはトラックの後部に接触し、右の対向車線に飛び出したのだろう。そこでマッドマックス2のように大型トラックのバンパーがバイクを吸い込んだ。どちらも100K超のスピードだったろう。バイクはトラックの下部に引っ掛けられたまま、地面に裂かれ、削られ、500メートルにも渡って残骸を残してしまった。
 ぼくが見たものは、トラックの下部にかけられた毛布、その影から覗く人体の下半身。避けたバイクの部品。フルフェイスの黒いヘルメット。ずっとずっと先のほうに、右足のブーツが立っている。その近辺に赤い肉片が、陽光に光っている。
 道端に多くのトラックやバイクの集団が駐まっていた。目撃者たち、なのかもしれない。パトカーのサイレンが鳴り響く。現場検証の警官がやっと到着したらしい。
 悪夢のような光景だった。さきほど無茶な走行をしていたバイクが、数分後に無惨に壊れ去っていた。
 ライダーは埼玉県春日部市の三十一歳。親のことを想像すれば、同情する気にもなれない愚かなバカ野郎である。