シュンの日記なページ

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転勤

 ぼくは転勤を蹴って前の会社を辞めたようなものだ。なんだかんだ理屈をつけてはみたけれど、あとで振り返ってみれば札幌に住み続けたいというのが、ぼくの辞職の真ん中にある理由だったのだと思う。
 元ぼくの山の後輩であり、大学卒業とともにPベッド社に就職して初年度より札幌配属になったSが、13年後の今になって突如埼玉への転勤を言い渡される。転勤がないと読んでついに札幌に家を建てましたという葉書が来たのが、この正月。昨年の8月に建てた家を、Sは売りに出し、埼玉に移住してゆく。札幌で見つけた嫁さん、札幌しか知らない二人の子供たちを連れて。何だか、聞くだけで大変だ。
 Pベッド社は上場企業だし、業績もよく、家を建てたくなるくらい収入も得て、Sは生真面目で好感度も抜群だから出世頭でもある。だからこそ起こり得る転勤という宿命。いやだな。辞めにくい職場だな、と思う。ぼくの前の職場は、ちょうど先代が引退し、ぼくを重用してくれた二代目も株を売り払い、外資系100%になった。だから、転勤をはねのけて辞めてしまおうと思うことができた。いやな上司にいやな環境。いろいろなファクターが出揃った。
 そうではないSは辞めることはできず、家を売ってまで会社にこだわる。端から見たら、どこででも勤まる年齢、才覚があるとしか思えない。ぼくのあのときの47という年齢、限られた専門的経験で辞める冒険とは違うように思える。
 だが、人にはそれぞれの決断がある。大学に六年も七年もいたような呑気なぼくらの世代と、山岳会としては、たったの四年で卒業してゆく初めての真面目&良識世代であるSとのと世代差のようなものもあるのかもしれない。もちろんぼくらの方がずっと世の中にとっては使えない世代だという自覚もあるのだけれど。