海峡の月

　葬儀の順序が火葬、告別式と、私の知っているものとは逆だった。朝から出棺の儀を執り行い、火葬場に移動し、先にお骨を拾ってから、午後に告別式となった。暑く、雲ひとつない快晴の日が続いている。

　すべてが終わって、身内、隣近所の人だけになってから、町の会館に移動して法要の膳を囲む。すべてが終了したのが午後の3時。私たち家族は、暑い宮城を後に高速道を一路北上した。日暮れ時に青森港に着き、船に乗る。函館には真夜中に着いた。漁火と月光に照らされた海峡が明るく、とても美しかったが、風は北のもので、とても冷たい。

　夜中に高速を飛ばし、札幌には3時半に着いた。東の空が水色に白み始めている。世界は美しいままで、私たちは全身に疲労だけを抱え込んで帰ってきた。

　父よ、とわに、安らかなれ。